大塚雅貴写真集「SAHARA」砂と風の大地 表紙

大塚雅貴写真集

「SAHARA」砂と風の大地

サイズB5判
(257o×182mm)
価格 2750円+税
発行 2015年5月29日発売
山と渓谷社刊

耕して天に至る

大塚雅貴写真掲載

美しきアルジェリア 
7つの世界遺産を巡る旅
(地球の歩き方GEM STONE)

 

価格1,995円(税別)
地球の歩き方編集室 発売中

耕して天に至る

大塚雅貴写真集

耕して天に至る
- 中国・雲南 世界一の棚田 -

価格2,600円(税別)
毎日新聞社 発売中

イランの稲作

赤い岩に輝く稲

 イラン北部のカスピ海沿岸、標高4490メートルのタハット・スレイマン山の峠を越えると、山の麓には水田が広がっていた。赤い岩山が天を指す光景を背に田植えをする人たちに出会った。首都テヘランから西へ約250キロ、アラムート村には山の中腹から流れる雪解け水が絶え間なく流れ、谷間には涼しい風が吹きおろす。砂漠地帯のあるイランだが、北部は山地に覆われ冬には雪が降り、カスピ海沿岸では温暖な気候に恵まれ農業が盛んだ。
 「定年前はガス会社で働いていたが、今ではコメ作り一筋だよ」と、語るマレキ・ムハンマド・ラッシュランドさん(65)は、朝から田植えの準備に追われていた。「おーい、水を入れるぞ」、奥さんに大きく叫ぶと、水が流れ始めた。乾いていた土が粘りのある泥に変わると、畦を作り、耕し、苗を取って一本一本丁寧に苗を植えていく。すべてが手作業。生活は裕福とは言えず、高価な機械も変えないが、「ここは空気もうまいし、風も心地よい。イランの中ではとても暮らしやすいところなんだ」、と生まれ育ったこの村を離れようとはしない。彼はぬかるんだ田を自由自在に動き回り、重そうな農具も器用に操る。息子たちは村を離れてテヘランで仕事をしているが、「大好きなコメが作れるなら寂しさなんて感じないよ」と微笑む。
 イスラム革命から約30年。イランと聞くと、過激なイスラム原理主義との関与や兵器開発のイメージがつきまとうが、田に向かう彼らと話してみると、そんな印象が変わってくる。マレキさんの笑顔に本当のイランの姿を見た気がした。